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[学年]三年生 [性別]男
[ CV ]宇野津達也
恋愛経験のない変態的妄想大学生。
日々「来たるべき未来の恋」に向けて妄想(本人は綿密なシミュレーションという)を重ねている。
ある朝、ふとした事で助けてくれた雪菜に恋をし、それ以来『彼女と仲良くなりたい』『彼女の
ために何かしたい』という思いでいろいろな騒動を起こしていく。
根は真面目であり、純粋。
なにかにつけて理屈をこねる悪癖があり、しかしその割に、いざ行動となると直球で
暴走する事が多い。
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[学年]四年生 [性別]女
[ CV ]宮本聡美
山田曰く「運命の人」。おっとりとした女性で、いつもニコニコと笑っている。
ちょっとしたことをよく見ている人で、基本的に誰にでも優しい。
山田の行動も(結果はともかく)その熱心さ、必死さゆえに
好意的にとらえている。
色白。運動はやや苦手。
読書が趣味で、
大学内でもよく木陰のベンチに腰掛けて本を読んでいる。
その清楚な姿に、ひそかに想いを寄せる学生は少なくないとか。
文学部の四年生。あまりお酒は強くない。
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[学年]二年生 [性別]男
[ CV ]宇野津達也
山田の悪友。前歯が二本出ていて、のっぺりとしたねずみ顔。
『ぶふふ』と不気味に笑う。
何か騒動が起こることを楽しみにしており、
ゆえになにかと騒動を起こす山田のことを気に入っている。
意外に顔が広かったり妙な知識があったり、役に立つのか立たないのか、
そもそも役に立とうという気があるのかどうかもよくわからない人。
傍観者でいることを望んでいるようだが、しかしなんだかんだで、いつも山田のことを助けてくれる。
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[学年]二年生 [性別]女
[ CV ]浦本早都美
雪菜の妹。姉とは対照的に活発で積極的。サバサバとした性格なので
先輩後輩、男女を問わず人気がある。
初対面で(事故ではあるのだが)山田に胸を触られ抱きつかれたため、基本的に彼の事が嫌いなようだ。雪菜を守るナイトのように、山田の前に立ちはだかる。
非常に運動神経がよく、小柄ながら中学高校とバスケ部のエースだった。
喧嘩っ早くて向こう見ずなところがあり、良くも悪くも負けず嫌いだったりもする。
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第一話///1月12日放送 「再会せよ!愛しのあの娘ともう一度!」
俺の名は山田。ごく普通の大学三年生だ。
普通でない点を挙げるならば、俺にまだ大学生活の華である「恋愛」が訪れていない事か。
ふふ、主役は遅れて登場するとはいえ、恋愛の神よ、気をもたせるではないか。
いつその日が訪れてもいいように、脳内シミュレーションは完璧だ。
さぁ、来い!すぐ来い!いま来い!
・・・恋愛の神様。そろそろ寂しいんで本気でお願いします。
そんなある日!ようやく!俺にも運命の出会いが訪れた!
圧倒的な美人!肌が白い!足が長い!
だがそんな事はどうでもいい!そんな事よりも・・・
「気にしないでください。困った時はお互い様ですから」
その優しさと、温かな微笑みに、俺は・・・
恋を、してしまった。
そのまま立ち去った彼女とは二度と会えないかとドキドキしたが、さすが運命の出会い。
その日の夕方には、俺は彼女を見かける事が出来た!
必死に駆け寄る俺!必死に、彼女だけを見て、彼女しか見てなくて・・・
「きゃあっ!」
・・・え?
誰かとぶつかった。手のひらには、なにやら柔らかい感触。
「へっ、変態っ!痴漢っ!」
ちょ、待て、違、悪気はないんだぁっ!
公衆の面前で女性を押し倒し、あまつさえ胸を揉む。そんなあけっぴろげな痴漢があるかっ!?
あぁ、こうしている間にも彼女が行ってしまう!
勘弁してくれ!俺は彼女と再会しなければならないのだ!
再会して、そして・・・
あぁもう、俺の恋路を邪魔するなぁっ!
第二話///1月26日放送 「捜索せよ!ペットの名前はペドロスキー!」
再び山田だ。あの日以来、彼女への想いはつのるばかり。
思い余って根津に彼女の素性を探ってくれるよう依頼してしまった。
いや、ほとんど手がかりがない状態で、いくらヤツでも見つけられるハズはないと期待していなかったのだが・・・
「か、彼女が同じ大学っ!?」
なんと本当に見つけてきた!でかした根津!
根津の調査によると、彼女は我が大学の四年生で、名を一条雪菜!
一条、雪菜・・・なんと美しい、彼女にふさわしい名前だ。
(ちなみについでに、先日俺を痴漢と罵った女は、一条夏紀。なんと雪菜さんの妹だった)
さっそく学内を探し、彼女を発見。例の妹となにやら話しているのだが・・・雪菜さん、表情が曇っていらっしゃる。
「どこ行っちゃったのかな、ペドロスキー・・・」
ぺ、ペドロスキー?
「何かの動物らしいが、わかるか根津」
「いやそう言われても・・・あ、そういえば今朝理学部で実験用のモルモットが逃げたって騒いでましたよ」
「それだ!」
『ペドロスキー=ネズミ』に違いない!
雪菜さん、待っててください!あなたのためにこの山田、ペドロスキーを見つけてみせます!
ネズミ探しといえば、ネコ。
学内をうろついていたネコさんに協力を仰ぎ、あっちへこっちへ東奔西走。
ま、まぁ多少の、いやかなりの障害と妨害を乗り越えて、満身創痍になりながら、
しかし俺は!箱一杯のネズミを手に入れた!
「ふふ、これだけいれば必ずやペドロスキーも含まれているに違いない」
さぁ、雪菜さん!これを受け取ってください!
「え・・・あ、ありがとう・・・」
ん?なんだこの違和感は。
雪菜さん、満面の笑みで喜んでいいんですよ?
「あんた何考えてんの・・・ペドロスキーはネコよっ!」
なにぃ!?なぜそれをもっと早く言わんのだ妹よ!
くそ、痴漢だなんだとまた騒がれるのを恐れて距離を置いたのがあだになった!
俺が丸一日、必死になってネズミ探しに打ち込み、ようやくこれだけ大量のネズミを見つけてきたというのに!
ん・・・というか、大量のネズミを意味もわからずプレゼントされた雪菜さんは・・・?
「えっと、あ、ありがたく・・・」
受け取らなくていいですぅ!違う、違うんです!雪菜さぁ〜んっ!!!
第三話///2月09日放送 「暴飲せよ!ヤツらの酒を飲み尽くせ!」
またも山田だ。なにを隠そう、今日は俺の誕生日!
それを口実に雪菜さんを誘って・・・と思っていたのに、実際は根津と二人で大学近くの居酒屋にいる。
不本意である。非常に、不本意である!
だが、奇跡が起こった。この店に天使が舞い降りた。
偶然も偶然、俺たちが飲み始めようとしたところに雪菜さんが来店したのだ!
これはなんという僥倖!この機を逃してはならん!
「ゆ、ゆ、雪菜さんっ!一緒に飲みましょう!」
夢のような誕生日に・・・なるハズが、またもヤツに邪魔をされる。
「あんた、なんでここにいんのよ!?」
「げ、妹・・・!」
どうも雪菜さんの妹(夏紀、と言ったか)はここでバイトをしているらしく、雪菜さんはそれを迎えに来たらしい。
「で、ではこいつのバイトが終わるまでの間だけでも!」
「3番テーブルさん、お帰りで〜す!」
「おいぃ!!!まだなんも飲んでねぇよっ!?」
邪悪にして尊大な店員に妨げられ、麗しの姫君と引き裂かれた哀れな俺(と根津)。
雪菜さんは俺たちと離れたテーブルに案内されてしまった。
くそぅ、あと一歩のところでいつも邪魔をしおって・・・!
「はい、どうぞ!」
「ぐっ、そんな威圧的な接客を・・・おい、これは?」
「・・・ウーロン茶」
「これは頼んでないぞ」
「・・・・・・サービス、です」
「な、なに・・・?」
「・・・・・・・・・サービスだって言ってんの!」
「お、おい、ちょっと待・・・行ってしまった」
なんだあいつ。急にサービスとか・・・な、なんか入ってるんじゃあるまいな。
横で根津はニヤニヤ笑っている。曰く、『ペドロスキーのお礼じゃないですか』。
だったらそうと素直に・・・ま、まぁいい。お礼、か。
・・・なんだ、いいトコあるじゃないか。
お茶くらい、まぁその、もらっといてやろう。
俺の顔を見て茶々を入れてくる根津を(顔が赤い、とか・・・そんなワケあるか!)懲らしめてやろうとした瞬間、
雪菜さんの席から聞き捨てならない会話が聞こえてきた。
「おい、なにを一人で飲んどるんだ、こっちで一緒に飲もう」
酔っ払いが雪菜さんに絡み始めた!
慌てて助けに行こうとする俺を、客同士が喧嘩になると不穏当だと止める根津。
こういう時は店員さんに任せましょ、と、妹(夏紀、と言う)を呼んで事情を話す。
「あれは・・・ウチの大学の教授じゃない」
「え、ホント?」
「知らないの?あれが有名な片山正蔵教授」
曰く、気に入らない生徒には単位を与えずいじめたおすという極悪権力者だとか。
妹(夏紀、だ)はなんと、ヘタに手を出してお姉ちゃんが睨まれたら・・・と二の足を踏んでいる。
なんと情けない!相手が誰であろうと、目の前で雪菜さんが困っているなら助けに入るにやぶさかではない!
『困った時はお互い様』だ!
そのせいでもっとひどい事になったら・・・もっと全力で助ける。それだけだ。
「とにかく行く!根津、フォローは頼む!」
考えるよりも前に飛び出した俺は、雪菜さんが無理やり飲まされそうになっていた酒を横からかっさらい飲み干す!
「な、なんだ貴様っ!?」
「すいません、喉が渇いていたもので!」
い、いかん・・・俺も酒は弱いのだ。それもすこぶる。
こんな勢いで一気飲みしたらすぐに・・・あぁ、ほら、もう雪菜さんが二人に見える。
「なるほど、教授に飲み比べ勝負を挑むわけですね!さぁどうします教授、この山田さんは強いですよぉ、『酔わずの山田』の異名を持つ酒豪です!尻尾巻いて逃げますか!?」
「ぐ・・・よかろう!こんな若造においそれと負けはせん!」
「さすが!」
おぉ、さすが根津。これで俺が飲み続ける限り、教授が雪菜さんに手を出す隙はない。
飲み続ける限り・・・ん?
ね、根津さん?俺、すでに限界なんですけど・・・?
第四話///2月23日放送 「撃滅せよ!悪逆非道のストーカー!」
さらに山田だ。ある日の大学、俺は講義が終わって雪菜さんが出てくるのを待っていた。
これから俺がする事を考えると、汗が止まらない。鼓動が早鐘のように鳴る。
根津の策だからといってうまくいく保証はない。ただ雪菜さんに嫌われて終わるかもしれない。
だが・・・やらねばならない事なんだ。
「山田さん?どうしたんですか」
校舎から出てきた彼女が、優しい微笑みを向けてくれる。
俺は・・・そんな彼女を、抱き寄せた。
「や・・山田、さん・・・?」
「動かないで」
早く、来い。長くはもたない。まだか・・・早くっ・・・!
「な・・なにやってんのあんたっ!」
い・・妹!?えぇい、どうしてこいつはいつもこういうタイミングで・・・!
「こんな公衆の面前で・・・離れなさいっ!」
「待て、あと少しだけ」
「なに言ってんの、変態っ!」
「ご・・ごめんなさい、山田さん、私・・・失礼します!」
「あ、雪菜さんっ・・・!」
すっとうつむき、逃げるように駆け去っていく雪菜さん。くそ、これでは・・・
「ちょっとは、あんたのこと見直してたのに・・・」
そう言いながら詰め寄ってくる妹を睨む・・・その頭上に、黒い影。
「来るなっ!!!」
間に合うかっ・・・!?
驚いて一瞬静止した妹を強引に抱き寄せる。
何を言う間もなく、刹那の後に植木鉢が地面に衝突し、割れる。
・・・威嚇のつもりか?こんなもの・・・当たれば、死ぬぞ。
「・・・無事か」
「う・・うん・・・離れて」
すぐさま上を見上げるが、各階のベランダ、屋上、共に怪しいヤツは見えない。驚いているヤツ、心配そうに見ているヤツ、俺と同じように自分より上の階に人の姿を探すヤツ・・・
根津は、うまくやったか・・・?
そう思った途端、俺の不安を見透かしたように携帯が震えた。
「はい、バッチリいただきました」
「でかした!ヤツは今?」
「下に降りていきました。すぐに出てきますよ」
「よし、俺はこのまま尾行にうつる」
「ちょ、ちょっと待って、なんなのあんたたち。どういうこと!?」
事情を知らん妹がまた詰め寄ってくる。仕方ない、こいつと一緒に尾行、か。
「来ましたよ!」
出てきた男と距離を取り、見失わないように注意しながら、妹にワケを話して聞かせる。
「ストーカー?」
「そうだ。それで雪菜さんを守ろうと思ったんだが、どうにも相手が特定できなくてな。ヤツをおびき出すために一芝居打ったわけだ。俺が強引に迫れば、必ず何かしてくるだろうと」
「だからってあれはどうだろう」
「俺だって反対した。根津の案だ」
雪菜さんに嫌われたらと思うと心配どころの話じゃなかった。いや、さっきの様子じゃ嫌われてしまった、かな・・・
「根津には離れたところから見張っていてもらったんだ。間違いない」
「カッとなって後先考えず攻撃してきたわけね。誰かさんそっくり」
「その後先考えない攻撃から誰が守ってやったと思ってるんだ」
「・・・うん、ありがと」
な・・・なんだ、急に素直に・・・くそ、調子が狂う。
「・・・ここか」
そうしているうちに、ヤツの家にたどり着いた。
家には・・・カギはかかっていない。ならばこのまま乗りこんで、白黒つけてやる!
「観念しろ、悪逆非道のストーカー!お前の悪事もここま・・で・・・」
部屋に入った俺たちは、思わず息をのんだ。
目にしたモノを理解した瞬間、戦慄が体中を包む。
部屋中の壁という壁が、大量の『雪菜さんの写真』で埋め尽くされていた。それにあれは・・・盗聴!?
「お姉ちゃんの部屋を、盗聴してる・・・」
「この写真、盗撮か。俺達が『最近気付いた』だけで、『最近始まった』わけではなかったか・・・!」
「触るなっ!!!・・・触るんじゃ、ない。僕の雪菜だ」
暗い部屋に、閃光が走る。
「スタンガン・・・!!!」
「雪菜と結ばれるボクは、夏紀のお兄ちゃんなんだよ?そのボクに対して」
「気持ち悪い・・・お姉ちゃんがあんたなんか認めるわけないでしょ!!!」
一瞬の沈黙は、狂気が満たされるまでのわずかな隙間に過ぎなかった。
「・・・ウジ虫に影響されて。兄として、おしおきしないと」
一歩。
「・・・やめて。来ないで」
「そんなに怯えないで」
一歩。
「いや・・・」
「どこに行くのさ?大丈夫だよ・・・」
一歩・・・
「壊すのは、ちょっとだけだから・・・!!!」
「いやぁぁぁっ!!!」
「夏紀ぃぃぃっ!!!」
第五話///3月08日放送 「決断せよ!まさかの恋の分かれ道!」
ややや、山田だっ!す、すまん、テンション上がってしまった。
何故ってそりゃあ・・・雪菜さんにデートに誘われたからだよ!『いろいろお世話になったし、ご飯でも食べに行きませんか?』って!『二人で』って!
いかん、幸せで死んでしまう。
ってなわけで、ふふふ、行ってきま〜す♪
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
なぁにを話せばいいんだ〜っ!!!い、いかん、何も言葉が出てこない。緊張しすぎて味もわからん。
重苦しい沈黙。
噛み合わない会話。
とんちんかんな提案。
こっ、このまま終わるわけには・・・!
「今日はありがとうございました」
終わった・・・
「楽しかったです、おやすみなさい」
楽しかった?優しいな・・・楽しかったわけないじゃないか、あんなのが・・・
「山田?ねぇ、何してんの・・・ちょっと、聞いてる?」
あぁもう、絶対嫌われた・・・
「おい、山田!」
ぐほぁっ!い、いきなりの衝撃に身悶える。こんな乱暴者は俺の知る限り・・・
「お前か、夏紀ぃ!」
「おぉ、元気出た」
む・・・ちょ、ちょっとカッとなっただけで、元気になったわけでは・・・
「死んだ魚みたいな目ぇしてさ。なんか・・・らしくないから」
・・・もしかして。心配、してくれたのか?
「デート、うまくいかなかった?」
「な、なぜ知ってる!」
「妹ですから。嬉しそうに話してたよ、食事に行く約束したんだって」
「・・・楽しみにして、くれてたんだな・・・あぁもう、俺は最低だっ!」
「知ってる」
「なぐさめろぉ!!!」
「いつもの事でしょ、めげないめげない!」
「なぐさめ方が軽い!」
「一緒に重くなるのは性に合わないんだって。あ・・・じゃああたしがデートしてあげよっか」
「・・・は!?」
な、夏紀とデート!?なにを言ってるんだこいつは!?
「いいから行こう!ほら、ダッシュ!」
何がなんだかわからんままに、強引に街を連れまわされる。
喧嘩して、口論して、一緒になってムキになって。
・・・気づけば何も考えずに、ただ楽しかった気がする。
「あぁもう、大丈夫?ほら、しっかり」
気が緩んだのか、最後に寄った居酒屋でふらふらになるまで酔っ払ってしまった。
「ほら・・・掴まって。立てる?」
「うん・・・すまん」
「いいよ別に。困った時はお互い様でしょ」
・・・やっぱり姉妹、か。雪菜さんと同じことを言う。
「・・・ありがとな」
「な、なに、突然」
「俺を励ますために、無理やりデートに誘ってくれて」
わかっていた。こいつは・・・そういうヤツだ。
「・・・言わなくていいよ、そういうの。恥ずかしいから」
「うん・・・お前といると楽だな、言いたい事が言えて」
「そう?」
「ん・・・こんなに好き勝手怒鳴りあえるのは、根津くらいのもんだ」
「あたしは根津クラスか」
「光栄に思え。あれでなかなか、根津クラスというのはランク高いんだぞ」
「でも根津でしょ?」
「根津だな」
二人で笑った。夜風が気持ちいい。
「・・・ね」
「ん?」
「・・・付き合ってみる?」
「・・・へ?」
「あたしと」
「・・・は!?」
ななな、なんの冗談だそれは!?
「ちょ、ちょっと待て、その、俺は」
「あたしはさ、今はもう・・・嫌いじゃないよ、あんたの事」
「・・・俺だって、嫌いではないが」
「じゃあ好き?」
「な・・なにを、お前、こら、ふざけるのも大概に」
「あたしは好きだよ、あんたのこと・・・なんてね」
「な、『なんてね』なんてついてる告白があるか!」
「つっこむな。照れ隠しだ」
んぐ・・・ほ、本気だというのか。だとしたら、俺は・・・?
「じゃ、お茶買ってくるから。それまでに考えておいて」
「はぁ!?お、おい、待て!」
「待たない!」
駆け去る夏紀の背中を呆然と見つめる。
告白・・・?好き・・・?あいつが、俺を・・・?
「俺、は・・・あいつの、事・・・」
・・・そ、そんな簡単に決められるかっ!!!
最終話///3月22日放送 「告白せよ!目指せ奇跡の大団円!」
・・・山田だ。例の告白に返事も出来ないまま、情けない限りではあるが俺は根津に相談していた。
し、仕方ないのだ!だってこんなこと、完全にシミュレーションの想定外だ!
俺はあいつを憎からず思っている。一緒にいて楽だし、楽しいと・・・思う、が・・・
「じゃ、いいじゃないですか、付き合っちゃえば」
「しかしあいつ、あれで結構人気あるんだろ?だ、だとしたらあいつのためにも、俺なんかと付き合わない方が・・・」
「あいつのため、とか言って逃げない。あの人がね、あなたと付き合いたいって決めたんです。周りがどう言うかなんて関係ないんですよ。何を言われたって、あなたと二人で対処していけばいい。そういうものでしょ、恋愛って」
ぐ・・・まさか、根津に恋愛を語られるとは・・・
「・・・山田さんはね。誰がなんと言おうと自分の思いを貫くトコが唯一の美徳なんですよ。結果を恐れずに突き進むのがいいんです」
・・・根津よ。そう、言われても、俺・・・
「・・・あまり、がっかりさせないでくださいね」
・・・俺は、答えられなかった。
その日、雪菜さんから電話があり。
結局、何も決められないまま、雪菜さんと会うことになった。
俺は・・・何を言えばいいんだろう・・・
「山田さん!お待たせしました。どこへ行きますか?」
雪菜さんの行った事ない場所へ連れて行きたい、と話していたのを覚えていて、自分が行った事のない場所を考えてきてくれた雪菜さん。
俺のくだらないこだわりをちゃんと覚えてくれてて、それに応えようとしてくれる雪菜さん。
ありがたいじゃないか、何を迷う必要が・・・
「ゲームセンターとかも行った事ないんです。あ、でもとりあえずそこの公園に行くのもいいですね、天気いいし」
ゲームセンター。夏紀と、デートした場所。
公園。夏紀に、告白された場所。
な、何を考えてるんだ俺は!今はあいつは関係ないだろ!
「・・・山田さん。私といて、楽しいですか・・・?なんだかずっと、他の事を考えているみたいで・・・」
雪菜さん・・・いや、違うんです、雪菜さん・・・
「ごめんなさい。どうすれば山田さんが楽しいか、わからないんです」
そうじゃなくて、これは俺が・・・
「・・・夏紀みたいに、できればいいのにね」
・・・そんな事ない。俺は、雪菜さんが・・・
「・・・雪菜さん・・・夏紀・・・」
俺は一体、何を迷っているんだろう・・・?
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