用語解説コーナー 血が滾舞台用語辞典



ダメ出し(だめだし)
2012.10.25 OA


バラエティー番組などで使われるようになってから、一般にも普及してきた用語『ダメ出し』。これも元は芝居の世界で使われていたものがテレビ業界にも流用されるようになった用語です。
意味はまぁ、読んで字のごとく、ダメな点を洗い出すこと。主に演出家が俳優やスタッフに対して修正・訂正を求める注意のことです。役者同士だったり舞台監督から各スタッフへだったり、演出家以外がダメ出しをする場合もあります。お客さんからの指摘もダメ出しと呼んだりします。昔はさておき、今では広く「芝居をよくするための指摘」を『ダメ出し』と呼ぶわけですね。

『ダメ出し』の「ダメ」は漢字で書くと「駄目」。一般に良くないことや効果がないことを指す、あの「駄目」です。実はこれ、囲碁の世界から来た言葉だというのは、割と有名な話。囲碁の「駄目」は、白黒双方の境界にあって、どちらの地所にもならない所を指す言葉です。「目」は囲碁盤の「マス目」の事ですね。「駄目」に石を置いても自分の陣地とはならず、意味がありません。そこから「意味のないこと、無駄なこと」を「駄目」と呼ぶようになったのです。

演出家さんによって、『ダメ出し』の言い方も様々です。できるだけ優しく言う人、厳しく言う人、具体的な動きを指示する人、抽象的なイメージのみ伝える人。しかし共通して肝心なのは、あくまでも「その芝居をよくするための意見」であるという事と、「どんな言い方であれ、相手に意図を明確に伝えられる言葉を選ぶこと」。単なる誹謗中傷は『ダメ出し』ではありませんし、相手が混乱するだけの難解な物言いはまともな『ダメ出し』とは呼べません。『ダメ出し』をする上では、芝居のため、お客さんのため、相手のためを思って、ちゃんと理解してもらえるように伝える事が大切なんです。
『ダメ出し』って、実はする側にとても技術が求められる難しいテクニックなんですよね。


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