ゲネプロ(げねぷろ)
2012.12.06 OA
本番を上演する劇場(まれに違う劇場でやる場合もありますが、その時も同程度、同条件の劇場を選びます)で照明、音響、舞台装置からメイクや衣装まで、すべてを本番同様に行う舞台稽古の事を『ゲネプロ』と言います。稽古場ではほとんどの場合、照明はありませんし舞台装置や衣装も仮の物だったりしますから、実質的には『ゲネプロ』が、初めてすべての部門が一体となる瞬間と言えるでしょう。
語源はドイツ語の「Generalprobe(ゲネラルプローベ)」。「General」は「総合的な」、「probe」は「稽古」を意味していますから、日本とほぼ同じ意味の用語と考えていいでしょう。ただし、『ゲネプロ』という略語は日本独自の表現で、ドイツではちゃんと「Generalprobe」と言わないと通じません。(文字表記上、「GP」と略すことはあるそうです)
日本ではさらに省略して『ゲネ』と呼ぶ事も多いですね。
ちなみに英語圏では稽古の事を「rehearsal(リハーサル)」、舞台稽古の事を「Stage rehearsal(ステージリハーサル)」、『ゲネプロ』にあたる本番さながらの稽古を「dress rehearsal(ドレスリハーサル)」と言います。
開場や1ベルも再現して本当に本番と全く同じスケジュールで進める場合もあれば、それらは省略して開演以降を本番同様に行うという場合もあります。大抵は初日の前日に行われる場合が多いですが、これはおそらく劇場を予算、スケジュール等の理由から長期間確保できないため、結果的に直前に行う慣習になっているためで、前日に行うものだと決まっているわけではありません。オペラなどでは声帯のために一日以上開けることもあるそうです。また、作品の完成度が未熟だった場合など、数日にわたって『ゲネプロ』を繰り返すケースもあります。
舞台用語には多いのですが、この『ゲネプロ』も各劇団、劇場、現場によって微妙に使い方が違っていたりします。「メイクはどこまでやるの?」「衣装ありって事は早替えもやるんだよね!?」「カーテンコールはあり?なし?」など、「本番さながら」という言葉の範囲はしっかり確認しておかないと後で混乱する事になったりもします。
『ゲネプロ』は基本的に最初から最後まで本番通りにやるものですが、場合によっては演出や舞台監督が途中で止めてしまう場合もあり、そうすると役者は「ゲネプロなんだから最後までやるんじゃないのか!」ともめてしまうケースも。なんでもそうですが、意思疎通は大切ですね。