[ 2013.05.09 OA ]
人里離れた深山幽谷。
その奥地に、なめらかに言葉を発する事にその生涯を賭けた者たちの集う、道場があった・・・
道場では門下生の[龍]と[鈴]に、新人の[蓮]と[蘭]を加え、早口の修行に励んでいた。
そんな中、老師が彼らに告げる。
「早口とは、【武】である!」
曰く、早口の妙技は他を圧倒し、体内で練り上げられた"気"を技に変え相手を打ち倒すことができると。
半信半疑ながらも[鈴]が[蓮]に対し早口を放ってみると、その大いなる力は[蓮]を吹き飛ばした。
自分たちが学んできた術が誰かを護るための力になると、喜ぶ一同。
しかし続いて[蓮]が試してみようとして失敗すると、体内に練り上げられた"気"が逃げ場を失って暴走し、彼自身を傷つけてしまった。
「早口は諸刃の剣。見事な技は相手を倒すが、己を内より引き裂く刃ともなる事を心得よ」
未熟な者は安易に使うべからず、という事か。
肝に銘じ気を引き締め、あらためて修行を続けようとした一同の耳に、道場の外から悲鳴が聞こえてくる!
何事か、と一同は急ぎ道場を飛び出していった。
その頃、やや道場から離れた森の中。
一人の青年が虎に襲われ、今にも喰い殺されんとしていた!
そこへ駆けつけた一同は彼を助けるため、初めて実戦で「早口の力」を解放する事を決意する。
「簡単にはやられないよ!」
「グルルルルゥゥゥ・・・グアァァァァ!!!」
今回の早口言葉
「ブラジル人のミラクルビラ配り」
鈴は襲いくる虎の牙を身をかがめてすり抜け、掌底を顎に当てる。
「一撃で・・・終わらせる!」
勢いよく突き上げた腕には、体内で練り上げられた“気”が込められていた。
重さ五十貫はあろうという竹林の猛獣が、小石のように軽々と垂直に吹き飛ぶ。
「うむ、あっぱれ。勝負ありじゃな」
自分の発揮した力にまだ驚いた様子の鈴を見つめ、老師がゆったりと微笑んだ。
・・・ 経験値 〔鈴 3ポイント〕 獲得! ・・・
見事、初陣に勝利した道場一門。
助けた青年に何故こんな山奥に、と理由を聞くと、
この辺りに高名な武術道場があると聞いて命を賭けてやってきたのだ、という。
「それって・・・俺たちの事か?」
先ほどの闘いを見て感動した、やはりあなた達の噂を信じてよかった、と安堵の笑みを浮かべる青年。
彼の頼みは・・・
「あなた達に、退治してほしいヤツらがいるんです!」
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