[ 2013.05.23 OA ]
「それじゃ・・・乾杯!」
麓の村で人々を困らせていたチンピラ二人組を見事に退治した一門。
四人は感謝する村人たちから、お礼にと酒宴に招かれる。
和気藹々と楽しく進む酒の席。しかし、物陰からこっそり覗く怪しい影が二つ・・・
「あぁ、蘭ちゃん・・・可愛いなぁ・・・!」
影の正体は、例のチンピラ二人組。
二人は全く懲りていないようであり、しかも兄貴分の張は蘭に懸想する始末。
蘭を自分のものにしたいという張に、弟分の陳は煙玉と麻袋を差し出す。
宴会の場に煙玉を投げ込み、混乱に乗じて蘭を麻袋に詰め込み連れ去ろうというのだ。
「お前頭いいな!がはははははは!」
「そっすか?そっすか?ぶふふふふふふ!」
「ゴホ、ゴホゴホ、これは・・・煙玉っ・・・!?」
「前が、見えない・・・!」
突如放り込まれた煙玉に、パニックになる会場。
「捕まえた!兄貴、捕まえた!」
「でかした!ずらかるぞ!」
ややあって、煙が晴れてきた会場。なんだったんだ、と周囲を見渡すと・・・
「・・・あれ、蓮は?」
一方、意気揚々とアジトに戻ってきた張と陳。
「ん〜、蘭ちゃん!蘭ちゃん!」
「おぉ、兄貴、袋の上からとはいえそんな大胆な抱擁を!」
「い、意外と筋肉質なんですね」
「よし、袋開けやしょう!えい!」
「おえぇぇぇぇぇ・・・!」
「誰だ、お前!?」
策士、策に溺れる。自分たちが投げ込んだ煙玉のせいで自分たち自身も視界を奪われ、蘭と蓮を取り違えて連れてきてしまったようだ。
「ちくしょう、男の純情弄びやがって!」
「お前らが間違えたんだろうが!」
「うるせぇ!やっちまえ!」
なかば八つ当たりで襲いかかってくるチンピラたち。蓮は、一人で二人を相手取ることを決意する。
「あんた一人で俺たちを倒す気っすかぁ?!」
「待ちに待った出番に、俺の血潮が燃えてやがるぜ!」
今回の早口言葉
「マグマ大使のママ マママグマ大使」
「なっ、まさか、そんな!?」
「調子に乗ってるからっすよ!」
蓮は早口に失敗し、暴走する気の奔流に飲み込まれる。
その凄まじい衝撃に集中が緩んだ隙を突いて、弟分の拳が蓮の横面を襲った。
最早、体を支える気力もなく、地面に膝をついた蓮。
「はっ!てめぇなんかじゃ俺の相手はつとまらねぇよ!がはははははは!」
「だったら・・・私が相手になってあげる」
高笑いしながら蓮を見下ろすチンピラの背に、不意に凛とした声が投げかけられた。
一同が声の方に目を向けると、そこに立っていたのは、蘭。
煙玉の騒動があった際に席を外していた蘭は、宴席から逃げ去る二人組を見つけ、尾行してきたのだという。
お目当ての人物をおびき寄せられたと勢いづく二人を、蘭は冷ややかに睨みつけて言い放った。
「少しは黙っていられないのかしら・・・いいわ、私が黙らせてあげる」
「兄貴がホの字でも、容赦しないっすよ!」
「今ならまだ、逃げられるわよ?」
今回の早口言葉
「マグマ大使のママ マママグマ大使」
つかみかかってくる陳の腕を取り、自分の方へとその体を引き寄せる蘭。
腹部に重い掌底を一撃。
打ち込んだ瞬間に体内で練り上げた気を放ち、後方へと弟分の体を吹き飛ばした。
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「俺の力で屈服させる!それがたとえ、惚れた女であろうとだ!」
「しつこい男は、好みじゃないの」
今回の早口言葉
「骨粗鬆症訴訟、勝訴」
「これ以上、私を“本気”にさせないで!」
襲い掛かってきた張の無防備に開いた懐に、反転しながら体を滑り込ませる。
そのまま相手の鳩尾へと、えぐるように気を込めた肘を打ち込む。
急所に深く突き刺さった攻撃に、張は蛙の潰れるような呻きをあげて地に沈んだ。
・・・ 経験値 〔蘭 6ポイント〕 獲得! ・・・
「ぐ・・・く、くそ・・・今日のところは見逃してやらぁ!この事は忘れねぇぞ!」
「覚えてやがれ〜!」
ほうほうの体で逃げ出していく二人を嘆息して見送った蘭は蓮を助け起こす。
蓮が礼を言って立ち上がったところに、息を切らせて駆け込んできたのは龍と鈴の二人だ。
「蓮、大丈夫か!?あいつらは!?」
「あいつらは、蘭さんが倒してくれました」
「・・・蓮は、戦わなかったの?」
「ぐ・・・やられました!やられましたよ! くっそぉ、帰ったら修行しまくってやる!」
敗北を知り、より一層の修行に励むことを誓う蓮の言葉に、龍たちの明るい笑い声が重なった。
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