[ 2013.07.04 OA ]
「ここにはいないな・・・そっちはどうだ?」
「こっちもいな〜い。またどっか行っちゃったのかなぁ」
道場の中を、忙しなく行き来する一門。彼らは老師を探していた。
ここ最近頻繁に道場を留守にする老師は、今日も例に漏れず外出したようだ。
おつきの娘々たちも行き先は知らされていないと聞き、一同はいぶかしむ。
「絶対何かありますよ、これ」
「じゃあ、確かめに行こう。今ならまだ追いつける!」
事情が気になり、老師を尾行した四人だったが、村の入り口まできて撒かれてしまう。
そうまでして隠したいことがあるのかと、ますます疑念を深くした四人。
蓮と鈴、龍と蘭の二手に分かれて老師の捜索を続行する。
「ダメ、今日は見てないって」
「そうっすか・・・よし、次はあっち行ってみましょう」
鈴と蓮は、細い路地を中心に老師を探して走りまわっていた。
聞き込みを終え移動しようとした二人を突如、青衣をまとった覆面の男たちが囲みこむ。
「何なんすかあんたら・・・俺たちが何したって言うんすか!」
「お前たち、あの男の弟子だろう。命が惜しくば、我らに従え」
「へぇ、老師絡みなワケだ。ったく、何やってんだろうな、あの人は・・・!」
剣を抜き放つ覆面達に、鈴たちは迎撃すべく体勢を整える。
「ここは力ずくでも、道をあけてもらおうか!」
「無駄な足掻きを・・・」
「俺たちの邪魔をするんじゃねぇ!」
今回の早口言葉
「隣の客はよく柿食う客だ」
「俺一人でも十分だな!」
迫る刃の軌道を見極め、かわしざまに素早く二度、相手の腹部に正拳を叩き込む蓮。
相手が怯んだところで、身体を回転させ重さを加えた手刀を無防備な横っ面に叩き込んだ。
覆面の男はうめきをあげてそのまま地へと倒れ伏す。
しかし息つく間もなく、別の刃が蓮に肉薄していた。
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「貴様、斬り刻んでくれるっ!」
「へへっ、のってきたぜ!」
今回の早口言葉
「蛙ピョコピョコ三ピョコピョコ 合わせてピョコピョコ六ピョコピョコ」
「そんなんじゃ、俺には勝てないっ!」
覆面の剣の下をかいくぐり、蓮は相手の背後に回り込む。
相手が振り向くよりも早く、容赦のない回し蹴りが青衣の背中を襲う。
悲鳴を上げて吹き飛ぶ男には目もくれず、蓮は残る一人と対峙する。
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「ぐっ、貴様、生きて帰れると思うな!」
「それ、『許してください』の間違いじゃないの!?」
今回の早口言葉
「ブスバスガイド バスガス爆発」
「ここまで来て・・・くっそぉ!」
連戦によって集中力が乱れたのだろうか。
蓮は自身の気の暴走により自滅してしまった。
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「あの男さえ倒してしまえばこちらのもの!」
「舐められたもんね。あたしを誰だと思ってんの!」
今回の早口言葉
「ブスバスガイド バスガス爆発」
「ヤバいヤバいヤバい!きゃあっ!」
加勢する鈴も一歩及ばず、敵の前に膝をついてしまった・・・
・・・ 経験値 〔蓮 6ポイント〕 獲得! ・・・
抗うことも出来ず、覆面の男たちによってその身を拘束されてしまう二人。
二人を引き立てながら、男は口元に酷薄な笑みを浮かべた。
「今頃は、残りの二人も・・・」
鈴と蓮が捕らえられたのと時を同じくして、蘭と龍も男達と対峙していた。
「怪我をしたくなければ我らとともに来い。貴様らはあの男を呼び寄せるいいネタになる」
「狙いは老師だというなら・・・逃げるわけにもいかないよな!」
老師を害するかもしれない覆面達に屈するわけにはいかない。
二人は男たちを相手取る決意を固める。
「貴様らには聞かねばならんことが山ほどある!」
「奇遇だね。俺もあんたに聞きたいことがある!」
今回の早口言葉
「空虚な九州空港の究極高級航空機」
「覚悟しな・・・こいつは効くぜ!」
覆面の攻撃を受け流す龍。たたらを踏んですれ違った相手の背に、渾身の虎尾脚を放つ。
覆面の男は悲鳴を上げることすら出来ず吹き飛び、壁に激突した。
そのまま気絶した仲間の姿に激昂した覆面が、龍に殴りかかってくる。
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「あくまでも抵抗するか!」
「力で制しようとするなら、俺もそれに対抗するまで!」
今回の早口言葉
「隣の竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったから竹立てかけた」
「悪いな。あんたらには、負ける気がしない!」
息もつかせぬ速度で拳を繰り出す龍。
連続で浴びせられる打撃によろめいた相手の腹部をめがけ、とどめとばかりに両の掌に“気”を込めて押し出した。
吹き飛ばされた男は、その衝撃に意識を失い、そのまま動かなくなった。
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「さすが、あの男の弟子といったところか・・・なかなかやる!」
「あんたら程度に後れを取っちゃ、老師に顔向けできないんでね!」
今回の早口言葉
「新設診察室視察」
「油断したか・・・悪い、蘭。あとは任せた!」
荒れ狂う気の奔流に倒れた龍を庇うように、蘭が前へと進み出る。
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「地べたに這いつくばって後悔するがいい!」
「ここまで繋いでくれた龍さんのためにも、勝たせてもらいます!」
今回の早口言葉
「新設診察室視察」
「後悔するのは、あなたの方みたいね!」
宣言の通り早口を成功させた蘭は、“気”をその体に充満させた。
振り下ろされた拳を腕でいなし、その手首を取って引き寄せる。
相手の勢いを利用して鳩尾に膝を入れ、続けざま“気”を圧縮した寸勁で相手を吹き飛ばした。
・・・ 経験値 〔龍 6ポイント/蘭 3ポイント〕 獲得! ・・・
・・・ 蘭はレベルが上がった! ・・・
・・・ 蘭の称号が『新人門下生』から『中堅門下生』に上がった! ・・・
「まだやるかい?」
「・・・くっ!」
「苦戦しているようだな」
多勢を相手にしながら、圧倒的な強さを見せつけた二人のもとに、また新たな覆面の男が現れた。
増援かと警戒する二人をよそに、男は撤退を命じる。
「残りの二人は確保した。充分だ」
「まさか、鈴さんと蓮が・・・やられた・・・!?」
驚愕を隠せない龍と蘭の目の前、青衣の集団は一斉に退却を始めた。
二人を連れ去った輩をここで逃がすわけにはいかない。
「龍さん!追いましょう!」
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