[ 2013.07.11 OA ]
「蓮〜っ、鈴さ〜ん!」
「くそっ、見失ったか・・・!」
老師を狙う覆面の男たちに連れ去られた鈴と蓮を救出すべく、後を追った龍と蘭。
しかしその姿を見失い、二人は途方にくれる。その時・・・
「危ないっ!」
「っ!?」
「これは・・・矢文? 一体誰が・・・」
「・・・読んでみよう」
足元に射られた矢文。
二人は困惑しつつ中をあらため、そして顔を見合わせた。
*****
一方、男たちの手に落ち、その根城につれてこられた蓮と鈴。
拘束され抵抗もままならない二人は、覆面の男に尋問されていた。
「まだ白を切るか。さっさと薬のことを吐け」
「知るかよ、そんなもん。もし知ってたとしても、あんたに話すことなんてねぇ!」
「減らず口を・・・俺はこのまま嬲り続けても構わないんだがな!」
「ぐあっ・・・!」
なかなか屈しない二人に容赦ない暴力が降り注ぐ。
その様子を、扉の影からうかがう姿があった。根城へと辿り着いた龍と蘭だ。
「二人ともいる。あの手紙に書かれていた内容は本当だったようだな」
「早く助けないと・・・」
焦る蘭を、龍が押し留める。人質がいる以上、迂闊に手出しはできない。
どうすれば、と蓮たちを見つめる蘭の背後に、龍が一歩、近づいた・・・
*****
「悪い、邪魔するぜ」
「きっ、貴様は・・・!?」
「龍さん!」
いまだ暴行の続く部屋に扉を開けて入ってきたのは、龍。
龍は縛られた蘭を連れており、躊躇いもなくその体を冷たい床に放り投げる。
「龍さん、どういうことっすか!?」
「別に。仲間の“フリ”をするのに、嫌気がさしただけさ」
戸惑う蓮たちの言葉に残酷な答えを返しながら、龍は蘭を蹴り上げた。
「うぐ、あっ・・・龍、さん・・・やめ、て・・・」
「・・・どういうつもりだ?」
「俺はもともと薬を手に入れるために、あのジジイの弟子になったんだ。だが・・・もううんざりだ」
「そんな・・・龍、さん・・・信じてたのに・・・!」
「だろうな。信じさせるのも、俺の仕事だ」
ひとしきり蘭を痛めつけた後、龍は口元に酷薄な笑みをはいたまま男に切り出した。
「手を組まないか? こいつらを殺せば弟子は俺一人。そうなれば、老師から秘薬の隠し場所を聞き出すのも容易いだろう」
「・・・ふん、いいだろう。ただし、妙な真似はするなよ」
「もちろんだ・・・ところであんた、薬の副作用のことは知っているのか?」
「副作用? そんな話は初耳だが」
「知らなかったのか。一体あんたはどう聞いていたんだ?」
龍の問いに男は淀みなく答える。
『飲めば誰しも早口の奥義を手に入れられる秘薬』だと。
龍は男の言葉に納得したようにうなずいた後、剣を借りたいと言い出した。
もう用のない三人を、さっさと始末してしまおうと言うのだ。
剣を構える龍に、制止を訴える悲痛な叫びが突き刺さる。
「龍さん、やめろ! やめろっ!」
「ウソでしょ、龍!」
「茶番はこれで充分だろ、蘭?」
言って、一閃。龍は刃を真っ直ぐに振り下ろした。
はらりと切れて落ちるのは・・・蘭を拘束していた縄。
龍が裏切ったように見せていたのは、敵から情報を引き出し、囚われた二人を助け出すための演技だったのだ。
騙されていたと知り、男が歯噛みをして剣を抜き放つ。
「貴様・・・貴様ぁ!」
「薬なんかに頼らない俺たちの力、あんたに見せてやるよ」
「許さん!許さんぞ、貴様ぁ!」
「容赦はしない・・・本気で来い!」
今回の早口言葉
「マサチューセッツ工科大学」を三回
襲い来る白刃を、龍は自らの剣で受け止めた。刃と刃の応酬に高い金属音が響き渡る。
数度の打ち合いの後、龍の鋭い一撃が相手の剣をその手から弾き飛ばした。
「これが俺の技だ・・・その身に刻め!」
反動によろめいた隙を見逃さず、“気”を込めた寸勁を胴に突き入れる。
体をくの字に折り曲げ、男は地面に膝をついた。
・・・ 経験値 〔龍 3ポイント〕 獲得! ・・・
・・・ 龍はレベルが上がった! ・・・
・・・ 龍の称号が『新人門下生』から『中堅門下生』に上がった! ・・・
「われらが・・・世を変えるの、だ・・・!」
最後に言葉を搾り出し、そのまま男は倒れ込む。気を失ったのを確認し、龍は息を吐き出した。
男たちの目的も分かり、今後の動きを話し合う一同。
とにもかくにも老師との合流を急ごうと決意する4人に、不意に声が掛けられる。
振り返ると、そこには見知らぬ美女が立っていた。
「強いんですね、あなたたち」
「・・・見ていたのか。矢文を俺たちに寄越したのもあんただな」
警戒心をあらわにする龍の態度に怯むこともなく、女はあっさりと言い放った。
「じゃ、行きましょうか。案内してあげます、劉趙老師のトコに」
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