用語解説コーナー 血が滾舞台用語辞典



二枚目/三枚目(にまいめ/さんまいめ)
2012.12.13 OA


男性のみなさん、言われた事ありますか?
美男子を指す『二枚目』、お調子者を指す『三枚目』。たった一枚違うだけなのに、なんだかずいぶん扱いが違う気がしますよね。
しかしなぜ、こんな言い方をするんでしょう?実はこれも、江戸時代の歌舞伎が由来。

当時、上方歌舞伎では、歌舞伎興行の宣伝として芝居小屋の前に八枚の看板が掲げられていたそうです。それらにはそれぞれ俳優の姿が描かれており、そのポジションによって描かれる看板の位置も決まっていました。一番右側の看板、一枚目は「書き出し」といい、その一座の中心である、主役の絵。その隣、二枚目には美男役の俳優が描かれ、さらにその隣、三枚目には道化役の俳優が描かれていたとか。だから、『二枚目』はハンサム、色男、モテる男。『三枚目』は滑稽、道化、お調子者という意味として使われるようになったと。

ちなみに、残りの五枚はと言うと・・・

四枚目=「中軸」と呼ばれる、中堅役者・まとめ役
五枚目=「敵役」と呼ばれる、一般的な悪人の役
六枚目=「実敵役」と呼ばれる、憎めない善人の要素のある敵役
七枚目=「実悪役」と呼ばれる、悪人の中でもとりわけ悪い大悪人の役
八枚目=「座頭」と呼ばれる、その一座の座長、元締め

だそうです。
これらの中で二枚目、三枚目だけが言葉として広まり残っていったのは、一枚目、四枚目、八枚目が座組み内での「ポジション」を示しているのに対して、二枚目、三枚目は「キャラクター」を示しているために使いやすかったのかもしれません(五枚目〜七枚目もキャラクターですが、まぁ他人に対して使いにくい言葉ですしね)。
また、時には四枚目に女形、五枚目に子役、七枚目に老け役を配する事もあったとか。

この八枚なら、あなたはどれになりたいですか?・・・えっと、七枚目だけはやめてくださいね?

いずれにせよ、どの役者もその芝居を成功させるために必要不可欠な大事な一員。そこに優劣はないのです。二枚目が引き立つためには、他の七枚が素晴らしい演技を見せる事が大切なんですよ。


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