血が滾対談第一弾 『生半可芝居のススメ』

※この対談は2012年12月25日に富山シティエフエムで放送された『スマイル!』という番組の内容をまとめたものです。


水上宇野津さんって、芝居を始めたのっていつからですか?
宇野津えっと、高校生の時ですね。高校の演劇部からなので。
水上それまでは?
宇野津特に。幼稚園や小学校の学習発表会で劇をした、とか。その程度ですよ。
水上まったく経験なかったのに、「やろう」ってなったキッカケは?
宇野津キッカケというか・・・僕、運動が苦手なので、文化部に入ろうとは思ってたんですよ。で、どうせ入るなら活発なトコがいいなと。当時のうちの高校だと、吹奏楽部か演劇部が大会で賞とかももらってて。吹奏楽部・・・はないな、と。楽器はちょっと出来ないよなぁと思って、とりあえず演劇部に行ってみたんです。
水上ふむふむ。
宇野津そしたらその年は演劇部人気なくて、見学希望者が僕一人で(笑)
水上あぁ、それは帰れない(笑)
宇野津そう、先輩方に放してもらえなくて(笑)で、まぁさっきも言ったように、ここで無理して断っても吹奏楽部に入るつもりもないし、いっか、と。これも縁だし、と。
水上なるほどねぇ。
宇野津そんなわけで、なんか感動の出会いとかそういういいエピソードは全然ないですよ(笑)
水上そんなもんですって(笑)では、それが本気になったのはいつ?
宇野津二年生の時。初めて自分が書いた脚本を上演した時なんですけど、芝居が終わってふらっと歩いてる時に、70歳くらいかな?白髪のご婦人が話しかけてきて。「さっきの芝居に出てらした方ですよね?」って。
水上おぉ!
宇野津握手求められて。正直、若い人っていうか、自分と同年代にしかウケないだろうなぁと思ってたので、自分としては意外だったんですね。「あぁ、年齢とか関係なく、面白いモノを作ろうと思ってがんばれば、それをちゃんと受け取ってもらうこともできるんだ」って思って。そこから、ずぶずぶと。
水上いいエピソードじゃないですか。
宇野津まぁそうですね(笑)部活ですからその後引退しましたが、学校外で芝居作りに関わる場所があったので、そこに出入りして・・・結局、高校三年生の11月まで芝居やってましたね。それも主役で。
水上あれ、受験・・・(笑)
宇野津ま、受験も大事だけど、芝居も大事だろ、と(笑)
水上ハマってますねぇ。そこは大人の方たちと?
宇野津えぇ、僕と同年代もいましたが、多くは社会人の方でした。
水上大人の方とやると、やっぱり違いましたか?
宇野津違いましたね。自分にない引き出しばかりですから。
水上そうですかぁ。
宇野津そんな感じで、幅広い年代が一緒に芝居を作る場、ってのがもっとあっていいと思うんですけどね。若い人はもちろんだし、30代、40代以上の方ももっともっと芝居やってほしい。
水上そうですよね。『元演劇部』って方も、たくさんいらっしゃるハズなのに。
宇野津そうなんです。まぁでも、社会人になって家庭が出来て、となるとなかなか・・・時間と労力を割かなきゃならないし、そういう意味ではある程度負担大きいジャンルですからね。
水上やっぱり生半可じゃ出来ませんよね。
宇野津う〜ん・・・
水上
宇野津僕は個人的にはね、「ちょっとかじってみようぜ」っていう生半可でやるのも・・・いいと思うんですよね。
水上あ、そうですか?
宇野津今、芝居をやってみたいなって思うと、劇団入って割とガッツリやるくらいしか選択肢ないと思うんです。富山だと特に。
水上そうですね。思いつかない。
宇野津でもたとえばカルチャー教室とか趣味のサークルとか、そういう「プロを目指すわけではないし、生活優先だけどその世界に触れられる場」ってのがあるべきだと思うんです。音楽でもダンスでも美術でも、あるいは茶道華道でも、そういう場っていっぱいある。なのに演劇のカルチャー教室なんてなかなか聞いた事がない。
水上確かに。少なくとも私はありません。
宇野津それじゃ無理ですよ。生活も仕事もありますもんね。本気でやる前提の人しか受け入れる余地がないジャンルって、敷居が高すぎる。
水上そういう『場』があると、「あら楽しそうね、ちょっとやってみたいわ」って人も挑戦できる。
宇野津そうそう。そういう、いい意味で生半可な素人も挑戦できるような『受け皿』があるべきだと思います。特に演劇はね、「この年になって自分が・・・」って事ないジャンルですから。
水上ほう。
宇野津「この年になったからこそ出来る事がある」ってジャンルだと思います。それは、役者でもスタッフでも。若いうちに経験を積む事は大事ですが、年をとったからってダメなわけじゃない。絶対に若い人にはわからないこと、できないことがありますから。
水上オジサン、オバサンの役とか?
宇野津わかりやすいトコで言うならそういうのもそうですね。ちょっとうまい若いヤツがどれだけがんばっても、50年生きてきた人にしか出せない色がある。そこで勝負できる時があるのが面白い。
水上深い・・・
宇野津第一、楽しいじゃないですか。いろんな人がいた方が(笑)
水上いいですね・・・やりますか、演劇教室。
宇野津やりたいですねぇ。だってねぇ、面白そうだなって軽く思った程度の時に、いきなり劇団入るしかないってのは・・・
水上無理無理。『劇団』ですもん!(笑)
宇野津そうですね、『劇団』ですからね(笑)誰だって尻込みします。
水上なんかやっぱり「私なんぞが・・・」って思いますよ、『劇団』は。
宇野津そんな事ないんですけどねぇ。やってみればわかるんですけど。
水上あ!そうそう、水橋に町民演劇ってありますよね。
宇野津えぇ、はいはい!
水上毎年、年に一回公演されてる。あれ観ても、皆さん自由な感じで楽しそうです。
宇野津そう、それ!『楽しくやる』のが一番なんです!いや、当たり前の話なんですけどね(笑)他のどんなジャンルだって、自分たちがまず楽しくないとね。楽しくやればいいんですよ!(笑)
水上そっか!(笑)
宇野津いや、まぁそれ『だけ』でいいかって言ったらちょっとアレですけど(笑)
水上まぁ『まずは』ね。最初の一歩として。
宇野津そうです。その最初の一歩を受け入れるために、『劇団』・・・でもいいんですけど、そうじゃない形で何か、さっき言ったカルチャー教室もそうですし、誰かが作って欲しい。さすがに、本当に何も知らない人だけでゼロから始めるのはちょっと大変ですしね。
水上やってくださいよ、宇野津さん!
宇野津え、あ、はい、僕でよければ(笑)
水上今後の宇野津さんの動向に注目ですよ、皆さん!







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