板付き(いたつき)
2012.06.21 OA
開演時、幕が上がった時。あるいは、暗転後に照明がついた時。
そうした時に、幕が上がった後や照明がついた後に登場するのではなく、最初からすでに舞台上に演者がいる事。それを舞台用語では『板付き』と言います。
この場合の「板」とは舞台の事ですね。昔は(今も多くはそうですが)劇場の床面が木材の板張りであった事から、舞台の事を「板」という言い方もします。 例えば「板の上に立つ」で「舞台に立つ」と同義です。
だから、あらかじめ幕が上がる(照明がつく)前から舞台上にいる事を『舞台にスタンバイしている=板に付いている=板付き』と言うわけです。
『板付き』は非常に使用頻度の高い基本用語ですが、それに関連して、役者が舞台袖でスタンバイしている事を『陰板(かげいた)』と言ったりもするそうです。 こちらはあまり使われないように思いますが・・・
ちなみに、日常的な慣用句で仕事などに慣れてきた事や態度や物腰がふさわしい事を指して「板についてきた」などと言いますよね?あれも、舞台が由来の用語です。
経験を積んだ役者の芸は舞台にしっくりと調和されていることから、「板(舞台)と調和する様子」から転じて現在使われているような意味になったようです。
そうそう、舞台用語から派生して、テレビや映画などの撮影でも、カメラが回った時に既に画面に演者が移っていることを『板付き』と言ったりするそうですよ。