二の舞を演じる(にのまいをえんじる)
2013.5.02 OA
人と同じことをして失敗すること、前の人と同じ失敗を繰り返すことを『二の舞を演じる』と言いますよね。この『二の舞』とは雅楽における演目のことです。
雅楽に「安摩(あま)」という舞楽があります。これは雑面をつけて演じる舞なのですが、これを演じ終えた後に、咲面(さきめん/わらいめん)という面をつけた老爺と、腫面(はれめん)という面をつけた老婆があらわれ、「安摩」の舞を真似て舞おうとします。しかし二人はうまく舞うことが出来ず、滑稽な姿をさらします。
この「安摩」に対する滑稽な答舞の舞楽を「二の舞」と言い、この舞の「先の人を真似ようとしたがうまくいかず失敗した」という内容から、「二の舞を演じる=真似をして失敗する」ということを指すようになり、やがて一般的にも使われるようになったのです。
もちろん、「安摩」では、先に舞った舞人は失敗しているわけではありませんが、使われていく中で少しニュアンスが変わっていったのでしょう。
ちなみに、「二の舞を踏む」という表現は誤用とされています。おそらく「二の舞を演じる」と「二の足を踏む」、二つの言葉が混同されたものではないでしょうか。
この「二の足」というのは、そのまま、歩く時の「二歩目」の事で、つまり「二の足を踏む」とは、「一歩目は踏み出したが、二歩目をためらい足踏みしてしまう事」。そこから、物事に挑む時に決断ができず尻込みしてしまう例えとして使われるようになった言葉です。
※上述のように、「二の舞を踏む」は誤用であるとするのが一般的ですが、舞台に立って演じることを「板を(舞台を)踏む」という言い方もします。舞は床を踏んで調子を合わせるものでもあります。そこから、「踏む=演じる」と解釈することもできるため誤用ではない、とする説もあるようです。