二の句が継げない(にのくがつげない)
2013.5.02 OA
驚いたり呆れたりしてしまい、後に続く言葉が出てこない様子を 「二の句がつげない」と言いますよね。実はこれも舞台用語。元々は、雅楽の世界から生まれた言葉です。
雅楽の朗詠(漢詩に曲をつけて歌うもの)では、詩句が三段階に分かれていて、それぞれを「一の句」「二の句」「三の句」と言います。そう、つまり「二の句」とは、雅楽の朗詠における二段落目の事を言うわけです。
この三段階はそれぞれ音域に違いがあり、一の句は低音域、二の句は高音域、三の句は中音域になっています。そして朗詠するにあたって一番難しいとされるのが、低音の一の句から一気に高音の二の句に繋ぐ部分。音の変化が激しいため上手く歌うのが非常に難しくて息切れしやすく、初心者はなかなか声が出せないとか。
つまり、「一の句から二の句に繋げることができず、声が出ない」というところから、唖然として絶句する様子を「二の句が継げない」と表現するようになったんですね。
ちなみに、「雅楽由来の言葉」と聞くとかなり歴史のある古い言葉のように思う人も多いでしょうが、江戸時代以前の文献にはこうした表現は見られないそうです(もちろん、『二の句』という言葉は雅楽用語として古くからあります)。
この言葉が現在の意味で使われたのは、大正時代に有島武郎が発表した「或る女」という小説が初めてではないかと言われています。「或る女」の連載開始が1911年ですから、ちょうどこの慣用句が成立してから100年くらいという事ですね。