水上 | 宇野津さんって、芝居を始めたのっていつからですか? |
宇野津 | えっと、高校生の時ですね。高校の演劇部からなので。 |
水上 | それまでは? |
宇野津 | 特に。幼稚園や小学校の学習発表会で劇をした、とか。その程度ですよ。 |
水上 | まったく経験なかったのに、「やろう」ってなったキッカケは? |
宇野津 | キッカケというか・・・僕、運動が苦手なので、文化部に入ろうとは思ってたんですよ。で、どうせ入るなら活発なトコがいいなと。当時のうちの高校だと、吹奏楽部か演劇部が大会で賞とかももらってて。吹奏楽部・・・はないな、と。楽器はちょっと出来ないよなぁと思って、とりあえず演劇部に行ってみたんです。 |
水上 | ふむふむ。 |
宇野津 | そしたらその年は演劇部人気なくて、見学希望者が僕一人で(笑) |
水上 | あぁ、それは帰れない(笑) |
宇野津 | そう、先輩方に放してもらえなくて(笑)で、まぁさっきも言ったように、ここで無理して断っても吹奏楽部に入るつもりもないし、いっか、と。これも縁だし、と。 |
水上 | なるほどねぇ。 |
宇野津 | そんなわけで、なんか感動の出会いとかそういういいエピソードは全然ないですよ(笑) |
水上 | そんなもんですって(笑)では、それが本気になったのはいつ? |
宇野津 | 二年生の時。初めて自分が書いた脚本を上演した時なんですけど、芝居が終わってふらっと歩いてる時に、70歳くらいかな?白髪のご婦人が話しかけてきて。「さっきの芝居に出てらした方ですよね?」って。 |
水上 | おぉ! |
宇野津 | 握手求められて。正直、若い人っていうか、自分と同年代にしかウケないだろうなぁと思ってたので、自分としては意外だったんですね。「あぁ、年齢とか関係なく、面白いモノを作ろうと思ってがんばれば、それをちゃんと受け取ってもらうこともできるんだ」って思って。そこから、ずぶずぶと。 |
水上 | いいエピソードじゃないですか。 |
宇野津 | まぁそうですね(笑)部活ですからその後引退しましたが、学校外で芝居作りに関わる場所があったので、そこに出入りして・・・結局、高校三年生の11月まで芝居やってましたね。それも主役で。 |
水上 | あれ、受験・・・(笑) |
宇野津 | ま、受験も大事だけど、芝居も大事だろ、と(笑) |
水上 | ハマってますねぇ。そこは大人の方たちと? |
宇野津 | えぇ、僕と同年代もいましたが、多くは社会人の方でした。 |
水上 | 大人の方とやると、やっぱり違いましたか? |
宇野津 | 違いましたね。自分にない引き出しばかりですから。 |
水上 | そうですかぁ。 |
宇野津 | そんな感じで、幅広い年代が一緒に芝居を作る場、ってのがもっとあっていいと思うんですけどね。若い人はもちろんだし、30代、40代以上の方ももっともっと芝居やってほしい。 |
水上 | そうですよね。『元演劇部』って方も、たくさんいらっしゃるハズなのに。 |
宇野津 | そうなんです。まぁでも、社会人になって家庭が出来て、となるとなかなか・・・時間と労力を割かなきゃならないし、そういう意味ではある程度負担大きいジャンルですからね。 |
水上 | やっぱり生半可じゃ出来ませんよね。 |
宇野津 | う〜ん・・・ |
水上 | ? |
宇野津 | 僕は個人的にはね、「ちょっとかじってみようぜ」っていう生半可でやるのも・・・いいと思うんですよね。 |
水上 | あ、そうですか? |
宇野津 | 今、芝居をやってみたいなって思うと、劇団入って割とガッツリやるくらいしか選択肢ないと思うんです。富山だと特に。 |
水上 | そうですね。思いつかない。 |
宇野津 | でもたとえばカルチャー教室とか趣味のサークルとか、そういう「プロを目指すわけではないし、生活優先だけどその世界に触れられる場」ってのがあるべきだと思うんです。音楽でもダンスでも美術でも、あるいは茶道華道でも、そういう場っていっぱいある。なのに演劇のカルチャー教室なんてなかなか聞いた事がない。 |
水上 | 確かに。少なくとも私はありません。 |
宇野津 | それじゃ無理ですよ。生活も仕事もありますもんね。本気でやる前提の人しか受け入れる余地がないジャンルって、敷居が高すぎる。 |
水上 | そういう『場』があると、「あら楽しそうね、ちょっとやってみたいわ」って人も挑戦できる。 |
宇野津 | そうそう。そういう、いい意味で生半可な素人も挑戦できるような『受け皿』があるべきだと思います。特に演劇はね、「この年になって自分が・・・」って事ないジャンルですから。 |
水上 | ほう。 |
宇野津 | 「この年になったからこそ出来る事がある」ってジャンルだと思います。それは、役者でもスタッフでも。若いうちに経験を積む事は大事ですが、年をとったからってダメなわけじゃない。絶対に若い人にはわからないこと、できないことがありますから。 |
水上 | オジサン、オバサンの役とか? |
宇野津 | わかりやすいトコで言うならそういうのもそうですね。ちょっとうまい若いヤツがどれだけがんばっても、50年生きてきた人にしか出せない色がある。そこで勝負できる時があるのが面白い。 |
水上 | 深い・・・ |
宇野津 | 第一、楽しいじゃないですか。いろんな人がいた方が(笑) |
水上 | いいですね・・・やりますか、演劇教室。 |
宇野津 | やりたいですねぇ。だってねぇ、面白そうだなって軽く思った程度の時に、いきなり劇団入るしかないってのは・・・ |
水上 | 無理無理。『劇団』ですもん!(笑) |
宇野津 | そうですね、『劇団』ですからね(笑)誰だって尻込みします。 |
水上 | なんかやっぱり「私なんぞが・・・」って思いますよ、『劇団』は。 |
宇野津 | そんな事ないんですけどねぇ。やってみればわかるんですけど。 |
水上 | あ!そうそう、水橋に町民演劇ってありますよね。 |
宇野津 | えぇ、はいはい! |
水上 | 毎年、年に一回公演されてる。あれ観ても、皆さん自由な感じで楽しそうです。 |
宇野津 | そう、それ!『楽しくやる』のが一番なんです!いや、当たり前の話なんですけどね(笑)他のどんなジャンルだって、自分たちがまず楽しくないとね。楽しくやればいいんですよ!(笑) |
水上 | そっか!(笑) |
宇野津 | いや、まぁそれ『だけ』でいいかって言ったらちょっとアレですけど(笑) |
水上 | まぁ『まずは』ね。最初の一歩として。 |
宇野津 | そうです。その最初の一歩を受け入れるために、『劇団』・・・でもいいんですけど、そうじゃない形で何か、さっき言ったカルチャー教室もそうですし、誰かが作って欲しい。さすがに、本当に何も知らない人だけでゼロから始めるのはちょっと大変ですしね。 |
水上 | やってくださいよ、宇野津さん! |
宇野津 | え、あ、はい、僕でよければ(笑) |
水上 | 今後の宇野津さんの動向に注目ですよ、皆さん! |