用語解説コーナー 血が滾舞台用語辞典



アドリブ(あどりぶ)
2015.02.19 OA


即興で行う演技や演奏のことを『アドリブ』と言います。
その場の思いつきで話すことなどを指して、芝居に限らず、テレビやラジオなどの放送業界やジャズ、クラシックをはじめとした音楽業界でも使われています。使う業界(あるいは頻度)が多いからか、一般の方にもよく知られた用語ですね。

この『アドリブ』は、この手の用語によくある和製英語ではなく、英語の「ad lib」。そのまま英語圏でも通じます。さらにその語源を遡ると、ラテン語の「アドリビトゥム(ad libitum)」になるそうです。「アドリビトゥム」は「好きなように・気ままに」という感じの意味で、そこから「台本に決められたセリフに縛られず、好きなように話す」事に使われるようになったのでしょう。

しかし本来の「気ままに」なんて意味とは違って、舞台上で『アドリブ』が行われる時というのはおおむね、切羽詰って内心冷や汗、というケースが多いように思います。よくあるのが、「相手がセリフを間違えた時」とか、「自分のセリフが思い出せない時」とか。だいたいはトラブルが起きた時にそれを回避してお客様にバレないように進行するために『アドリブ』でごまかすわけですね。 台本の読解力やとっさの発想力、瞬発力、もちろん他の役者の応じる力も必要ですから、そう簡単にはいかないんですけど。

うまい人の『アドリブ』はホント、見ててもわかりません。他のセリフと同じように計算されあらかじめ決められていたようにうまく芝居に馴染んでいます。難しいんですけどね。下手な『アドリブ』をして失敗すると、最悪の場合作品自体を壊してしまう危険もあります。安易な『アドリブ』は禁物、基本は台本通り間違えないように。しっかり稽古しておかなきゃですね。


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